竹下屋が「規格外野菜」という言葉を使わなくなった理由。


前回の投稿から2ヶ月も経ってるじゃありませんか。気まぐれ投稿が過ぎますね。


さて今回は私竹下が創業した理由での1つでもあるフードロス・規格外野菜についてお話したいと思います。


当時大学生の竹下は「世界の一方では食べられずに死んでいる人がいるのに世界のもう一方ではたくさんの食べ物が捨てられてる」という矛盾に問題意識(というか疑問?)をもち、農学部に編入しました。そこで出会ったのが「規格外野菜」という言葉です。


ようは形が少し大きかったり重量が合わないからという理由で出荷できない野菜なのですが昨今のフードロスブーム(皮肉な言い方ですみません)の中でよく注目される問題のひとつです。


「ええ!?これも規格外野菜!?全然おいしく食べられるのに!」という声がメディアから聞こえる日も多い気がします。ちなみに私は「規格」があることについてはそこまで否定的ではありません。


その感覚を共有させていただくには、そもそもなぜ規格があるのかという話をせねばなりません。


いろいろ理由はありますが、1番大きいのは「流通の効率化」のためです。(ここまで読んでくださった方、誤解をうみたくないのでやめていいよというまで読んでください(笑))


まず、規格というのは卸売市場で決められます。競りが毎日行われ、八百屋と言ったらみなさんがイメージするような超朝が早い八百屋さんです。彼らは信じられないぐらい薄利多売な商売をしています。例えば玉ねぎ10kg売って利益5円みたいな。


なので彼らにとって「効率化」というのはひとつの大きなテーマなのです。

そこで、トラック1台動かすのにかかるコストはガソリン代と人件費を考えると、満載でも空っぽでも一緒なわけです。となるとトラックの中にいかにたくさんの野菜を詰めるかが重要になるわけですが、詰める段ボールの数も決まっています。


なので、段ボールの中にいかに効率的に野菜を詰められるかがとても重要なわけです。だから曲がったきゅうりはデッドスペースができるから非効率で、まっすぐなきゅうりしか仕入れられませんという話になります。これが規格外野菜を生み出している最も大きな要因です。みんな、まっすぐなきゅうりもおいしいのはわかっているんですよ。


ここまで読んだあなたはきっと、「いやいや流通屋の勝手すぎるじゃないか!多少非効率でも運んだらいいじゃないか!」と思ったことでしょう。


じゃあ、今スーパーできゅうり50円で売っているとして、いやいや100円で買いますよ!とイチ消費者として言い切れるかということです。


これだけの距離を運んでもあんなに安く野菜を買えるのは流通の努力であり(まあアホみたいに市場価格が安くなってしまってることもあるのですが)、日本全国いつでも年中きゅりが食べられるようになったのは「市場」という仕組みが作り出した成果です。


(読むのが疲れた方、ここまで読んでくださったら誤解はうまないと思うので離脱してもかいまいません(笑))


しかしながらこの市場という仕組みが作られたのは80年も前のこと。そこから一切仕組みが変わっていない、すなわちこれからの時代の農業のあり方にこの農産物流通がフィットしなくなってきているのは事実でしょう。


(...話が長くなってきましたね。簡単にいきます。)


大きく2つの潮流があると思っています。1つは時代の流れとして(農業だけじゃなくて)働くことに対するやりがいを求め始めていること、もうひとつは新規就農者の減農薬や味へのこだわりが強い志向性(統計データがあるわけじゃなく、私の肌感覚です)です。


1つ目の農家としてのやりがい、それはお客さんからの「おいしい」という声を聞けることだと私は思います。既存の市場流通ではキャベツはキャベツで誰が作ったかとかはあまり関係なくて、自分が出荷した野菜はどこでどう食べられるのかもわかりません。もちろん消費者から感想が届くこともありません。最近産直系のアプリを利用している生産者のひとつの大きな理由は消費者と繋がる楽しさがあるからかなと私は考えています。


2つ目、減農薬や有機農業で規格にはめて作るのはほぼ不可能です。10つくっても3ぐらいしか出荷できません。さらに、味の良い野菜を作ろうと思ったら、例えば規格にハマる丸いトマトが作れる品種と、形は多少歪になるけど味が良い品種があったときに、こだわって作りたい生産者は後者を選びたいはずだけど、市場出荷を前提に考えると前者を選ばざるを得ないということです。


これからの農業のあり方、農家のあり方を考えた上での農産物流通が必要だと私は考えています。それが竹下屋で実現していきたい流通です。


なのでそもそも規格外かどうかなんてどうでも良いんです。こだわっておいしい野菜を作ろうとしている生産者の野菜がしっかり評価され、お客さんと繋がりながら生産者にその感想をフィードバックできるそれが私が作りたい農産物流通。(もちろんお客さんにもたらせたい価値もありますがここでは割愛します。)


こんな流通がこれからできていかないと新規就農者数が増えるわけがないし、日本の農業なんて廃れるだけだと思っています(それか効率化ばかりが求められた植物工場ばかりとかね)。


農家の年齢平均は60代。これから20年後で彼らが引退した後の農業界。

私たちが日常的に食べられる野菜が工業的に作られた野菜だけだったら?


それが嫌なら、こだわってつくる農家の野菜を食べて応援しよう。

イチ消費者として、未来の農業を作る野菜選びをしよう。

そんな野菜を日常的に買える選択肢を私たち竹下屋が創りますから。


店主 竹下友里絵